みなさんこんにちは。ECCおじさんです。
前回は環境管理センターの事業のひとつである、「計量証明事業」についてお話ししました。
私たちは大気や水質、土壌に含まれる化学物質濃度や、騒音・振動を測定しています。その結果は通常、「計量証明書」または「試験成績書」と呼ばれる書式でお客様にご報告します。
そうすると…

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・同じタイミングで依頼したのに、「計量証明書」で報告される試料と「試験成績書」で報告される試料があるのはなぜ?
・「計量証明書」で結果報告が欲しかったのに、「計量証明書は出せない」と言われたけどなぜ?
・「計量証明事業者」なんだから分析結果はすべて「計量証明書」で出せるんじゃないの?
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等のご質問をお客様からいただくことがあります。実はこれ、環境問題のプロフェッショナルでも判断が難しいケースがあるという、難易度の高い問題なんです。

…というわけで、今回は「計量証明書」と「試験成績書」の違いについて「濃度」の場合を例にお話ししていきましょう!

計量証明書を発行する条件

経済産業省・計量行政室が発行している「計量法関係法令の解釈運用等について」によると、計量証明書を発行するためには、以下の条件が必要です。

(1)媒体は、大気、土壌、水質であること
  ⇒ 大気には建築内の空気は含まない
  ⇒ 土壌には、産業廃棄物、肥料、鉱物、重油は含まない

(2)「濃度」には「風速(速さ)」及び「温度」並びに「透視度」、「電気伝導率」、「色度」、「臭気」、「石綿濃度」及び「大腸菌群数」は含まない

(3) 関連法令、JIS等に基づく適切な分析方法であること

(4) 分析結果が法定計量単位により報告されること

「計量証明書」を発行するための第1関門として、まずはこの4つをクリアしなくてはいけないんですね。「”環境”計量証明」なので、まずは「環境試料」であることが求められ、「”濃度”計量証明」なので「濃度」以外の単位で報告されるものは除外される。さらに、適切な分析方法で試験を行われている必要があることが読み取れますね。

じゃあ、どこまでが『環境』試料なんだろう?

「媒体は、大気、土壌、水質」であることは分かったけれど、どこまでが「環境計量」の対象になるのかは、まだすっきりしませんね。計量行政は各都道府県の計量検定所等が行う自治事務ですので、具体的な解釈は都道府県によって異なっている可能性があり、一概に言えないのが現状です。
私たちの場合は、
・一般環境の大気、水質、土壌
・工場等からの最終排出ガスや最終放流水など、「環境」に直接排出・放流される大気や水質
などは計量証明対象として取り扱っています。

適切な分析結果を得るために

ここまで読んでいただいてお判りいただけたかと思いますが、「試験成績書」での報告は必ずしも「分析精度が劣る方法での分析結果」を意味するわけではありません。決められた条件に合致しているか否かで、「計量証明書」、「試験成績書」のどちらで報告するかが決まります。
ただし、「計量証明書」対象の試料であっても、適切な試料採取や保管、着手時間の遵守等が行えていない場合は、「証明書」を発行できない場合があるので注意が必要です。
このようなことを避けるためにも、分析のご依頼をいただく際には「何の目的で」、「何をはかりたいのか」を事前にご相談いただけると幸いです。
…ということで、また次回お会いしましょう!