私たちにとって、当たり前に存在する「におい」。この「におい」って何でしょうか?私たちにとっては「嗅覚で感じる化学物質」と言ってよいでしょう。
では、体の小さい虫はどのようにしてにおいを感じているのでしょうか。そもそも、においを感じるのでしょうか。
虫もにおいを感じる
生きることに欠かせない化学物質を感じない生物は存在しないでしょう。虫も生きる為に必要な食べ物のにおいや性フェロモンを「触覚」を利用して、感じています。
触覚には、人間の鼻と同じように、嗅神経細胞が存在し、糸球体と呼ばれる組織に情報を伝えます。
この、嗅神経細胞と糸球体を使って、においの種類の判別も行っています。
すごい嗅覚の持ち主!「ゴキブリ」
ゴキブリは夜行性のため、嗅覚を頼りに餌を探します。特にフェロモン(性フェロモン、危険フェロモン、集合フェロモン)を感じるための嗅覚は、食べ物のための嗅覚と比較すると感度が良いと言われており、視覚的な手がかりが無くても、あの長い触覚を振り回すだけで、室内の性フェロモンの濃度分布を把握して、フェロモンを出すメスの位置をかなり正確に特定できるそうです…。メスを追いかけ、自分の遺伝子を残すために生きている究極のストーカーのような生物です。
ちょこっと紹介:がんのにおいがわかる!?不思議な生き物「線虫」
線虫とは、体長約 1 mm の土壌中に生息している小さな虫(線形動物)です。線虫の嗅覚神経は頭部にあり、犬と同等の嗅覚を持っています。近年の研究によって、がん患者の尿に含まれるがんのにおいに線虫が反応することが判明しており、実用化も進んでいます。
最後に
以上が、不思議な虫の嗅覚についてでした。
今このような昆虫の能力を新たなセンサー開発に応用する研究が世界中で盛んに行われています。
興味が出てきたそこのあなた…!においについてぜひ調べてみてくださいね。気になることがあれば、Facebookでコメントもお待ちしています。
(監修:におい・かおりLab 亀山直人)
参考文献
中川 龍郎, 「昆虫における匂いやフェロモンの受容体シグナル伝達メカニズムをめぐる論争に決着」 , PLoS ONE, 2012, 東京大学 農学生命科学研究科
西野 浩史, 「匂いのかたちを捉える神経を発見 −ゴキブリは闇の中で見るように匂いを嗅ぐ−」, Current Biology, 2017, 北海道大学電子科学研究所