ごみ質分析とは

ごみ処理施設は、環整95号(昭和52年11月4日「一般廃棄物処理業に対する指導に伴う留意事項について」)にて年4回以上の頻度でのごみ質分析が義務付けられております。
分析を行うことにより、下記の事項等が把握できます。

・ごみ処理施設へ搬入される廃棄物の実態
・ごみ減量化に向けた施策等の基礎データ
・食品ロス廃棄物の排出状況の実態
・不燃ごみに含まれる資源化可能なものの排出状況の実態

調査・分析の流れ(環整95号より抜粋)

①試料の採取

<収集・運搬車からの採取>
無作為に抽出した収集・運搬車から1台あたり10kg以上、合計200kg以上を採取する。

<ごみピットからの採取>
ピット内のごみを十分混合したのち、200kg以上採取する。

 

②試料の調整

採取した試料は、乾燥したコンクリート等の床上で、スコップ等でよく混合し、袋詰めのごみは中身を取り出し、特に大きなものは適当に細分する。
次に、試料を十分に混合しつつ、四分法により数回縮分し、試料として5~10kgを採取する。

③測定分析

<単位容積重量>
②の試料を容量既知の容器に入れ30cm位の所から3回落とし目減りしたならば、目減り分だけ更に試料を加える。
単位容積重量(又は見かけ比重)は、次式(1)により算出する。

単位容積重量(kg/m3)=試料重量〔kg〕/容器の容量〔m3〕…(1)

 

<水分>
単位容積重量の測定に用いた試料を秤量したのち、乾燥器等を用いて105℃±5℃で、恒量を得るまで乾燥し秤量する。
水分は次式(2)により算出する。

水分(%)=((乾燥前の重量〔kg〕-乾燥後の重量〔kg)〕/乾燥前の重量〔kg〕)×100…(2)

 

<ごみの種類組成分析>
水分の測定に用いた試料の全量をビニールシート等に広げて次の6組成を標準として組成ごとに秤量し、重量比(%)を求める。

1)紙、布類
2)ビニール、合成樹脂、ゴム、皮革類
3)木、竹、ワラ類
4)ちゅう介類(動植物性残渣、卵殻、貝殻を含む)
5)不燃物類
6)その他(孔眼寸法約5mmのふるいを通過したもの)

 

<灰分>
ごみの種類組成分析で分別した6組成のうち、不燃物類を除き、各組成ごとに破砕機を用いて2mm以下に粉砕し、その一部をルツボに入れて105℃±5℃で2時間加熱する。これを秤量したのち、電気炉を用いて800℃で2時間強熱し、秤量する。
灰分は、次式(3)、(4)及び(5)により算出する。

各組成の灰分(%)=(強熱後の重量〔kg〕/強熱前の重量〔kg〕)×100…(3)
        

Ai:(3)で求めた各組成iの重量比(%)
Bi:各組成iの灰分(%)(不燃物類については100とする。

生ごみの灰分(%)=乾燥ごみの灰分(%)×((100-水分(%))/100)…(5)

 

<可燃分>
可燃分は次式(6)により算出する。
可燃分(%)=100-水分(%)-生ごみの灰分…(6)

<低位発熱量> ※3成分による計算値
生ごみの低位発熱量は、次式(7)により推定することができる。

HI=4,500V-600W…(7)

 HI:生ごみの低位発熱量(kcal/kg)
 V:生ごみの可燃分(%)
 W:生ごみの水分(%)

最後に

種類組成分析を行うと、金属類(空き缶等)・陶磁器類といった不燃物が可燃ごみに混入しているのをよく目にします。こういったものが含まれていると焼却炉を傷めてしまう上、最悪な場合には焼却炉の緊急停止にもなり、ごみの受入れ停止にもなってしまいます。 

ごみは、各自治体のルールに従い、正しく分別して出すことを徹底しましょう。 

当社では、様々な案件でのごみ質分析の実績があります。一般的な案件だけでなく、特殊仕様の案件も対応できます。ごみ質分析でお困りのことがあればいつでもご相談下さい。

(執筆/並木 優)

●参考資料
環整95号(昭和52年11月4日「一般廃棄物処理業に対する指導に伴う留意事項について」