今回は、「フロンに関係する法律」と「フロンの分析例」のご紹介をします。
フロンとは、フルオロカーボン(フッ素と炭素の化合物)の総称です。
化学的にきわめて安定で扱いやすく、人体に毒性が小さいといった性質から、エアコン、冷蔵・冷凍庫、スプレーの噴射剤など身の回りの様々な用途に活用されてきました。
フロン排出抑制法について
フロン排出抑制法では、CFC(クロロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)を「フロン類」と呼んでいます。
CFC、HCFCといった一部のフロンが大気中に放出されるとオゾン層まで到達して、オゾン層を破壊してしまいます。
CFC、HCFCはオゾン層保護対策として生産・輸入が規制されていますが、温室効果も大きい物質です。
CFC、HCFCの代替として、主にHFC(代替フロン)への転換を進めてきましたが、HFCはオゾン層を破壊しないものの、二酸化炭素の100倍から10000倍以上の大きな温室効果があります。
2013年6月にフロン類の製造から廃棄までのライフサイクル全体にわたる包括的な対策が取られるように、「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」が制定されました(2015年4月1日施行)。
フロン類の分析について
分析例として、「フロン類の定性分析」をご紹介します。
※定性分析対象フロン類:CFC(R11,R12,R113,R114)、HCFC(R22,R141b)、HFC(R32,R125,R134a)
STEP1
対象ガスをアルミバッグに採取し、キャニスター(金属製密閉容器)へ希釈操作を行います。
STEP2
大気濃縮装置にてガスクロマトグラフ質量分析計に濃縮導入し、定性分析を行います。
STEP3
分析結果よりフロン類の定性を行います。
未来のために
これまで、オゾン層を破壊するCFC、HCFCからオゾン層を破壊しないHFC(代替フロン)への転換が進められてきましたが、転換が進んだことに伴い、HFC(代替フロン)の 排出量は大きく増加し続けています。
今後、地球温暖化防止のためフロンの排出を抑制するとともに、ノンフロンや温室効果の小さいグリーン冷媒への転換が重要となっています。
また、地球温暖化はフロン以外にも私たちが大量のエネルギーを使用することによって引き起こされています。
地球温暖化を防ぐためにも、私たち一人一人が省エネルギーに取り組むことや、再生可能エネルギーの推進等が大切です。(執筆/仁木一也)