建設工事や土木工事の現場では、多くの残土が発生します。
残土搬出する際に調査・分析を行う事は、法令で定められています。
「残土ってどうやって調査・分析するの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
本コラムでは、残土搬出に伴う調査・分析に基礎から分かりやすくご紹介します。
<残土に係る基礎知識>
残土とは
建設工事や土木工事で発生する余剰の土のことを指します。
正式名称は「建設発生土」であり、工事で掘削された後、構造物の埋め戻し等に使っても余る土を指します。
残土の処理方法としては、再利用、埋め立て及びリサイクル等があります。また、残土自体は産業廃棄物ではありませんが、木くずやコンクリート殻が混入していた場合には、産業廃棄物として扱われることもあります。
いずれの方法においても、残土の搬出を想定した場合には、適切な調査・分析を実施し、受け入れ先の基準を満たすことが求められます。
残土の搬出
残土を建設現場から搬出する際には、以下のような準備が必要です。
①受け入れ先(搬出先)の選定:処分場(都道府県、市町村、公社、会社等)の選定を行い、契約を結びます。
②残土調査:受け入れ基準を満たしているかを確認するため、土壌汚染に係る有害物質や土質試験を実施します。
③搬入時間の調整:処分場の受け入れ可能な時間を確認し、調整を行います。
④処分費用の確認:運搬費を含めた総コストを算出します。
上記の手続きは、残土の適切な処理を進めるための重要なステップになります。
以降は、当社で対応しております②に焦点を当てて説明してまいります。
<残土調査実施前の情報確認>
ここでは、残土調査を実施する前に確認させていただく情報について整理してまいります。
残土調査を実施する上では、分析結果一式の納期、残土の受入れ先(搬出先)、残土の搬出量(●●㎥)、最大掘削深度、現場状況(手堀リの可否、重機掘削の協力の有無)、場内入場にあたってのルール等を確認させていただきます。
なかでも、残土の受入れ先情報は重要となります。受け入れ先によって分析項目、採取方法、分析検体数(搬出土量として〇㎥につき●検体等)に違いがあるためです。受け入れ先が決まらないまま実施する事もありますが、全ての受け入れ先を網羅した調査方法はないため、複数搬出先を見込み、それぞれの受け入れ基準を満たせるような対応を協議させていただいております。そのような場合、最終決定した受け入れ先によっては、結果的に不要な項目を分析することもあり、余計な費用がかかってしまうことがあります。
参考まで、残土調査に伴う主な分析項目を以下に示します。
【残土調査に伴う主な分析項目】
| 通称 | 内容等 | 項目 |
| 溶出28項目 |
土壌環境基準 |
<重金属> <揮発性有機化合物> <農薬等> |
| 農用地2項目 |
土壌環境基準 |
<重金属等> |
| 溶出27項目 |
土壌汚染対策法 |
<重金属> <揮発性有機化合物> <農薬等> |
| 含有9項目 |
土壌汚染対策法 |
<重金属> |
| pH | pH | pH(2種の分析方法:『土壌環境』もしくは『JGS』) |
| ダイオキシン類 |
ダイオキシン類 |
ダイオキシン類(含有試験) |
※1溶出試験:「土壌に含まれる有害物質が水にどれだけ溶け出すか」を測定する試験。
土壌中の有害物質が地下水や雨水などに溶け出し、間接的に人の健康に与えるリスクを
評価する方法。
※2含有試験:「有害物質がどれだけ土壌自体に含まれているか」を測定する方法。
土壌中の有害物質が、粉じん等により口から直接的に摂取し、胃で消化した場合に人の
健康に与えるリスクを評価する方法。
<残土試料採取方法>
それでは、残土調査をする上での試料採取方法について解説してまいります。
採取地点の選定について
分析項目と同様に、採取方法についても受け入れ先によって違いがあるため、調査前には受入れ先への確認が必要です。ここでは、一例として「千葉県土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例(以下、残土条例)」を基に、採取地点の選定方法について、2パターンを例に解説します。
試料は代表性を担保する目的から、掘削範囲内で平面かつ断面で偏りが生じないように5地点を選定して採取します。その後、採取した5試料は等量混合を行って1検体とし、分析します。下記図をご覧ください。
1)敷地が四角に近い場合の採取地点

2)敷地が延長方向に長い場合の採取地点

掘削方法について
掘削深度(床付け面の深さ)によって、掘削方法が変わります。掘削方法については、現場作業時の写真を用いて解説いたします。
※掘削深度が表層部分-1.0m程度(締め固まっていない土)の場合
:ダブルスコップ、ハンドオーガ等で採取。費用も最小限で済みます。
※締め固まった土、掘削深度が表層部分-1.0~-4.0m:バックホウによる採取。
(現場にバックホウがありご協力いただければ、重機手配が必要なく、費用が抑えられます)
※床付け掘削深度-4mを超える場合:ボーリングマシンでの掘削となります。
残土調査時(試料採取時)の留意すべき事例紹介
採取地点の選定ならびに掘削方法を解説してきましたが、建設現場等の工事進捗によっては残土調査に支障が生じる場合もあるため、留意すべき事例として3点を紹介します。
1)地盤改良による分析結果への影響
地盤の安定性確保のために地盤改良を先行して行い、その後に残土調査を行う場合には、改良剤などの影響で六価クロム等の分析値が検出される場合があります。
加えて、地表面が固化する事で、人の手では掘削する事が困難となり、掘削時に重機が必要となる場合もあります。
2)鉄板敷きによる試料採取への支障
重機等を入れる目的で現場一面に鉄板が敷かれ、その後に残土調査を行う場合には、採取地点を確保するために鉄板の移動が必要となるケースがあります。更に、鉄板が溶接されている場合には、溶接切断作業等の工程が増えるケースもあります。
3)埋設管や埋設物の破損の恐れ
残土調査に際しては、人の手による作業、ボーリングマシン及び重機での作業を紹介しましたが、いずれも作業中に埋設物や埋設管を破損させる可能性が有ります。埋設管等への懸念がある現場では、埋設管図等を提供いただく事で、破損事故のリスクを低減させることが出来ます。
<結びに>
残土調査を依頼される際、必要な情報や試料採取の方法をすべて把握されている方ばかりではありません。そのため、余分な費用や時間、手間が発生してしまうことがあります。このコラムで紹介した内容は残土調査の一部ですが、皆様の気づきや関心につながれば幸いです。
また、残土調査は工事が進んだ段階で依頼されることが多く、早急な分析結果が求められる場合もあります。ただ、工事計画や着手前にご相談いただければ、調査時期や要望に合わせた対応が可能になり、無駄な費用や手間を減らす提案ができます。
残土調査や分析でお困りや不明なことがございましたら、ぜひ環境管理センターまでお気軽にお問い合わせください。(執筆:宗像)
参考資料
・千葉県 地質試料採取についての注意事項
https://www.pref.chiba.lg.jp/haishi/zando/documents/chuui.pdf
