- 2026-09-02
- 技術者コラム
【技術者コラム】土壌汚染対策法に基づく土壌調査について
1.はじめに
皆さんは、建物を建て替えたり、広い土地を掘り返したりする時に「土壌調査」が必要になることをご存じですか?
平成15年(2003年)に施行された土壌汚染対策法では、有害物質を使っていた施設の廃止や、一定規模以上の土地の掘削を行う場合等に、土壌調査の実施が求められています。
今回は、実際に現場でどのように土壌を調べているのか、その方法をご紹介します。
2.土壌調査内容
土壌調査は、対象となる土地において、土壌汚染対策法で定める有害物質(揮発性有機化合物・重金属等・農薬等。表-1参照)がどの程度含まれているかを、法令で定める方法にて確認することになります。
また、土壌調査により土壌汚染が確認された場合は、人への健康被害が生じる影響に応じて土壌汚染対策工事等により措置を行う必要があります。
土壌汚染対策法で定める調査から対策までの流れは図-1のとおりです。
地歴調査及び土壌汚染対策については、過去に技術者コラムにてご紹介しているため、ここでは土壌調査(概況調査)と土壌調査(詳細調査)の方法についてご紹介します。


3.土壌調査方法
(1)土壌調査(概況調査)
ア 土壌調査計画の立案
土壌調査計画の立案の流れは図-2のとおりです。
地歴調査により、対象地における土壌汚染のおそれが3パターン(それぞれ、土壌汚染が存在する「おそれがない」、「おそれが少ない」、「おそれが比較的多い」と認められる土地)に分類されるため、土壌汚染のおそれの程度に応じて、調査密度の設定(試料採取等を行う区画の選定)を行います。
また、物質の特性により、第一種特定有害物質は土壌ガス試料採取・分析、第二種及び第三種特定有害物質は土壌試料採取・分析を実施することになります。
以上を踏まえ、調査を行うべき地点は、図-3のようなイメージで設定されます。


イ 現地での調査(試料採取等)
・測量
調査計画立案において設定した調査地点を現地にマーキングします。

・試料採取(土壌ガス調査:第一種特定有害物質)
表面の被覆物を除去した後、地面に直径15~30mm、深さ0.8~1.0m程度の採取孔を設置、密栓し、30分以上一定時間経過後、土壌ガスを捕集バッグに吸引採取します。
土壌ガス採取方法は図-4のとおりです。
土壌ガス試料を採取後、分析を行い、第一種特定有害物質の検出の有無を確認します。

・試料採取(土壌調査:第二種及び第三種特定有害物質)
表面の被覆物を除去した後、表層土壌(地表から深さ5cmまでの土壌)及びその下層土壌(深さ5cmから50cmまでの土壌)を採取します。採取した土壌は分析室で風乾後、表層土壌及びその下層土壌を等量混合し1検体とします。
なお、有害物質を含む排水の配管やピットが地中にある場合は、その位置から50cmまでの試料を採取します。
また、土壌汚染が存在するおそれが少ないエリアでの土壌試料は、さらに30m格子内の試料採取等区画の土壌試料を等量混合し1検体とします。
土壌採取方法は図-5(1)~(2)のとおりです。
その後、分析を行い、土壌汚染の有無を確認します。


(2)土壌調査(詳細調査)
土壌調査(概況調査)において土壌ガス調査(第一種特定有害物質)で特定有害物質が検出された場合、土壌調査(第二種及び第三種特定有害物質)で基準不適合であった場合に、汚染状況(汚染深度)を把握するための深度調査を実施します。
土壌試料の採取は、コアカッター等で被覆物を除去し、これらを除く深さの土壌を試料として採取します。
試料は、図-6のようなイメージで、1mごとに深度-10mまでの土壌を分取します(第一種特定有害物質については-0.05m、-0.5mの試料も採取を行います)。
第一種特定有害物質は深度-10mまで分析することを基本としていますが、第二種及び第三種特定有害物質は2深度連続で基準適合が確認されるまで分析することが多いです。

4.最後に
土壌調査(概況調査)及び土壌調査(詳細調査)により、汚染土壌が存在している範囲が明確になるため、調査後に必要に応じて土壌汚染対策工事が行われます。
土壌汚染対策法の土壌調査は誰でもできるわけではなく、環境省が指定した「指定調査機関」だけが実施できます。当社もこの指定を受けていますので、「この土地、調査が必要かも?」と思われた際は、お気軽にご相談ください。(執筆:武藤)
5.参考文献
・土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン改訂第3.1版(令和4年8月、環境省 水・大気環境局 水環境課土壌環境室)