技術センターには約100名の技術系スタッフが在籍し、それぞれが専門性をもってお客様のご依頼やご相談、ご要望に日々お応えしています。ご相談の中には、「こんなことを確認したい」や「こんなこと出来ますか」といった、技術的な評価手法が定まっていない時点のお話しもあります。そのようなお話を具体的な試験として形作り、お客様の満足につなげることを社内では「受託試験」と呼び、ライン生産(分析)する業務と一線を画しています。
きっと、皆さまの「どうしよう」を解決するお力になります☺
受託試験とは
受託試験の内容はお客様のご依頼の数だけバリエーションがありますが、大まかに次の試験目的に分類されます。対象物質や試験名よりイメージできますか?
①新規規制化学物質の分析方法検討:社会要求による法制化のための検討など
→ダイオキシン類、環境ホルモン、PM2.5、マイクロプラスチック、PFOS・PFOA他
一部は、検討により公的な分析方法が制定されライン生産化されています。
②物質移動を把握する試験:環境保全やSDGs観点による検討など
→レアメタル、バイオマス燃料特性、下水汚泥りん回収、発生ガス評価、カラム通水 他
③製品の機能や環境品質に関する試験:コロナ対策に関連した検討など
→換気と消費電力の確認試験、UV透過率の確認試験、環境負荷確認試験 他
④緊急事案対応:東日本大震災に伴う放射性物質関連の検討など
→溶出特性、吸着特性、不溶化・固化、分配特性、物理特性、管理区域設置を伴う試験
⑤現場分析:より短い時間で分析値が必要なケースなど
→現場に簡易ラボを構えて即日分析の実施
移動分析車(MOVING LAB)が稼働していた時期もあります。
受託試験の内容
物質名はともかく、試験名からは具体的な内容をイメージしにくいと思います。例えば、③の「環境負荷確認試験」とはどのような内容でしょう。この試験は、お客様との打ち合わせにより決定した試験内容と方法により構成されます。詳しくはお示しできませんが、ある製品が環境に放出された場合に、環境へ移行する物質挙動は?焼却時の放出物質は?などの観点で複数の前処理操作を行い、国内外の法規制物質を分析しています。
受託試験のポイントは「前処理操作」と考えています。目的に応じ、評価物質に応じ、また対象試料に応じ、公定法のアレンジや文献を基にした操作、更にはこれまでに積み上げられた知見に基づき「前処理操作」をご提案することで、お客様のご要望にお応えしております。
近年は、SDGsへの取り組みとして脱炭素、カーボンニュートラルに関連し、バイオマス試験が増えてきました。数年前までは燃料として使用することが多いバイオマスでしたが、水素社会を見据えたガス化(発酵・改質)検討の試験も増えてきた印象です。是非、弊社の積み上げてきた知見をご活用ください!
最後に
冒頭にあるとおり技術センターには約100名の技術系スタッフが在籍し、それぞれが専門性をもっております。お客様の応対する者は1名ですが、その後ろでは「百人寄れば文殊の知恵」のごとくお待ち申し上げております。
気持ちはいつも「はい、よろこんで!」(執筆/下村 良介)